PBM傾国繚乱譜木偶切子プラリア&PL回想録

 

■ 1

 はて、さて、どうしたものか。
 男は腰を下ろすとかすかに首を傾げた。外套の裾を手繰り寄せ、襟を立てる。九月の北領の風はすでに冬の装いを帯び始め、歩みを止めるとその冷たさを否応なしに思い出させるものだった。眼と眼の間の狭い領域には、苦悩する様子が浮かび上がっていたがもともとがのんきそうな顔立ちであるためにあまり悩んでいるようには見えない。
 ときは、帝国が建国100年を経て、三公子の動乱とリルカとの戦役を終えたばかりの頃である。
 男の名は、木偶切子。南海公傍流の出であり、当時男爵位を持っていた。機敏さよりは朴訥さや素朴さを思わせる顔立ちをしている。中身も外見をそれほど裏切らない男だった。
 眼下では一列に並んだ腕木通信の信号所が、何かの信号をゆったりと送りあっている。リルカとの戦役で整備された腕木信号は、戦役が終わった後も使われ続け、帝国のなかでその重要性を高め続けていた。木偶は筆立てから筆を執り、懐から取り出した書付にその様子を書き付けていく。腕木通信の果たす役割など帝国のなかである程度以上の役職にいる者なら誰でも知っているものだが、書き付けておけばなにかに役立つかもしれないこともまた事実だった。
 そうした書付をしながら、木偶の頭を占めているのは別な問題であった。
 今後どうやっていくか。
 それこそが木偶にとって最大の問題だった。
 数ヶ月前の帝都の動乱の直前、木偶は帝都を脱出していた。おそらく、木偶も帝都に入れば最終的に南海派の粛清という形で幕を閉じたその動乱のさなかで粛清されていただろう。実のところ、南海公子とはあまり反りが合わず――それ以上に、有能な側近が常に控えている彼の周囲にはあまり馴染めず、木偶は入寮後一貫して距離をとっていたから、南海派というのはいささか無理のある見方だった。木偶本人はそういった派閥争いよりも、同室の縁で誘われた帝国芋協会や財団、それに東風会の活動にかかりきりだった。しかし、入寮時に南海派の情報取りをするよう清澄自身から命じられ、本家筋の相手でもあるため無碍にする訳にも行かず、東風会や財団について義理に反しない程度のいくつかの情報を流していたのもあるから無関係とも言いきれない。そういうわけで、いくぶんかの警戒をされているのは事実だった。いや、実のところはっきりと目に見えてそのような動きがあったわけではないが、そうであろうというのは動乱の結末を聞いたときから予想していたし、それらしいことはいくつか感じていた。つまるところ、あまり旗色がよいわけではない。
 かといって、南へ帰って領地経営を継ぐ方へ注力する、というのもあまり良い方向とは思えなかった。動乱の直前に帝都を脱出していたことや情報取りとしてほとんど仕事をせず、結果として里見や斉藤らによる動きを全く伝えられなかったために清澄派の生き残りからは相当恨まれていることは想像に難くない。ひどい言い方をするなら、こうもりのように両陣営の日和見をしていたとさえ受け取られている。それで何か妨害されるというわけではない。だが。信頼を失った状態というのはいざというとき頼れるものもあまりないという状態でもある。つまるところ、素直に南へ帰ったところであまり明るい見通しがあるわけでもなかった。
 最終的に南へ帰るにしても、なにがしか信頼を取り戻してからでなくては今後に問題を残すことになる。それが木偶自身の見通しだった。
 では、どのようにするか。それについての見通しが立たぬ。
 木偶は自分自身についてなにがしかの才があるとか、俊敏な頭脳を持っているとは感じていない。むしろ薄ら馬鹿に近いものだとさえ感じていた。社交性には自身があったが、さて今はどう振る舞えばいいのかよくわからない。なにしろ、自分の立場が微妙であることはわかっているが、それをどう打開したらいいのかがわからないから、どう振る舞うべきかがとんと見当がつかない。木偶が身につけてきた社交性というのは、あくまで立場や関係がある程度はっきりしたなかでの最良のふるまいであって、宮廷遊泳術のようなものではなかった。公子家の傍流ではあるとはいえ、子沢山の南であり男爵家の跡取りにはそういった社交術で十分であったし、もともと奸計といった事柄を張り巡らせるには木偶はいささか朴訥すぎる性格をしていた。
 そして、どうしていいかわからないから、惰性のように一度始めたことを続けていた。
 北領の見聞録の作成である。
 もともとは、帝都の動乱が本格化する前に思い立って始めたことだった。実際に現場で戦っていたものの実感は別として、帝都にいた木偶の目から見て、帝国は勝てるであろうと思われていた。別に先見の明があったからというものではない。ただ、三公子を交えて行われた図上演習の結果と現実の戦況に大きな乖離はないように感じられていたからという素朴な理由でしかなかった。そして、帝国が勝つのであれば戦によって荒れ果てた北領の復興に芋協会と財団も関わるであろうことも、木偶にとっては確実に思えることだった。
 それならば、情報がいる。まず、情報がなくては先を見通すこともできないし、判断することもできない。かつて同室であった葉がつけていた気象記録から木偶はそう学習していた。先を見通すことは里見や斉藤、今泉のようにより賢い同僚に任せるにして、情報を取りに行くというだけでもやってみる価値はあるように思えた。それに、学寮への入学は「見聞を広めるため」というものであったから北領を見に行くことはその助けにもなる。そうやって手配した結果、なんとも微妙な時期の出立となって現状があるのだから困ったものではある。
 見聞録の作成そのものはそれなりに上手く進んでいた。まず、世の中がどのように動いているか見るために市況と人の動きを見る、できるならば話を聞く。単なる物見遊山ならともかく、見聞録を作成するのであればその泥臭い反復とパズルを組み立てていく作業は必須であった。組み立てていくほうはかなり骨を折る作業だったが、泥臭い反復そのものはむしろ木偶の得意とするものだった。性格としてもそうであったし、社交性というものもそういった着実な繰り返しの上に成り立っている。その甲斐あって、見聞録はすでに完成していた。
 そうなると、これからの身の振り方が否応なしに迫ってくる。
 さて、どうしたものか。
 その日は結局答えの出ないまま、日暮れに追われるように木偶は治狼市内へと入った。北領の見聞録はすでに腕木通信で治狼市当局へ届けられていた。

 彼が治狼市長からの呼び出しを受けたのは、その日の晩のことだった。


■ 2

「ひ、ひさしぶりだね」
「ひさしぶりね」
 市政府から呼び出しを受け、市長邸へと指し回しの馬車で向かった木偶は出迎えに出た人物を見ておもわずあっけにとられた。
 筆木正直。それに、その妻となった里見あらため筆木覚。
 片や帝国芋協会の理事長であり、もう一方は財団の理事として机を並べたこともある人物である。
 二人が結婚し、筆木が治狼市長として赴任してきていることそれ自体は知っていたし、翌日には新婚祝と赴任祝いも兼ねて挨拶へ出向こうと考えていたがまさか先に呼び出されるとは思ってもいなかった。それに、通常であれば出迎えるのは召使いであり、当主が自ら出迎えるのはよほど重要な客だ。自分がそのような客であるとは考えてもいなかった慌てて木偶は頭を下げる。
「筆木侯爵におかれましては赴任と……」
「それは、よい」
 木偶の挨拶を少し慌てた様子で筆木が遮る。思わず怪訝な表情を浮かべた木偶に、筆木は天性の人の良さを感じさせる笑みを向けた。
「きゅ、旧交を温めようと思ったのだ。こちらから呼び出してしまって、申し訳ない」
「ああ、なるほど」
 筆木の言葉に、ようやく得心の行った様子で木偶は頷いた。考えてみれば筆木も覚も平服であったし、彼らが自ら出迎えに出たのもそういった意図だったのだろう。
「ここも寒い、中に入ろう」
 筆木に促されて屋敷へと入ると、木偶は無礼にはならない程度に抗議の声をあげる。
「せめて祝いの言葉くらいは言わせてください。さすがに面目がたちません」
「す、すまなかった。しかし、堅苦しく、したくなかったのだ」
 つまりは、立場の上下なく学寮にいた頃のようにしたい、そう筆木は言っているのだろう。木偶にとってはありがたいことだった。少なくとも、そのように扱ってくれるのであれば気楽であるし、なにより今思い悩んでいることを気にせずに済む。
 暫くの間、筆木のと間で共通の友人達の消息についての話になった後、話は木偶自身のことへと移った。
 筆木から「これからどうするのか」と問われると、木偶は少し迷った後、「まったく見当がつきません」と率直に答えた。ここで辺に誤魔化したり、話を逸したりしても意味はない。それに木偶自身、自分ひとりであれこれと思い悩むのに倦んでいた。覚の様子をうかがいながら「いま南へ帰っても、あまり立場は良くはなりませんから」とだけ付け足すと木偶は椅子に身を沈めた。
「そ、そうか」
 困ったように筆木が相槌を打つと、室内は静寂に包まれる。これは失敗だったかな、と見て取った木偶が話題を切り替えようとしたとき、これまで黙って二人のやり取りを見ていた覚が不意に口を開いた。
「あなたの書いた見聞録、面白かった」
 思いもかけない言葉に一瞬、目を瞬いてから木偶は「ありがとう」と応じる。見聞録がすでに彼らの手に届いているであろうことは予想していたが、ここで突然その話になることは考えていなかった。だが、話題を変えるいいきっかけではある。
「須葉門宗の門前町などは――」
 これを幸いにとばかりに見聞録でも触れた須葉門宗に喜捨が集まっていることについて話し始めようとした木偶を覚が「それで、これからのことなのだけど」と遮る。
「この見聞録、財団の調査にも使えないかしら」
「財団の?」
 思いがけない名前に木偶は首を傾げた。確かに自分は財団の理事ではあったが、あのような動乱の後にまた財団に関わることはないだろうと考えていた。なにしろ、南海公子派の粛清は今や財団理事長となった斎藤によるものだったし、帝都を離れていなければ木偶自身も宮廷前に並ぶ磔死体の一つになっていたとしても不思議ではなかった。
「そうよ。帝国財団にとって地方の限りなく生に近い情報は不可欠だし――それに、あなたは今も帝国財団の理事の一人であることを忘れていないかしら?」
 覚の言葉を木偶は即座に否定しようとして、否定できる言葉を持ち合わせていないことに気付いた。帝国財団にとって、今帝国に何が必要とされているかの情報が不可欠であることは動乱以前から感じていたことであったし、考えてみれば自分が帝国財団の理事を解任されたという確たる情報はたしかになかった。ただ、当然そうなっているだろうという推測を事実だと思いこんでいるだけだった。
「清澄から間諜の役割を任せられていたことを考えたら、情報を集めるのに向いているのではないかと思う」
 黙り込んだ木偶の反応を誤解したらしい覚の言葉に、木偶は苦笑を漏らした。たしかにそれは事実であったが、随分と買いかぶられたものだ。それと同時に間諜のことはこれまで覚が口に出していなかったことだったな、と気づく。さて、それがどういう意味合いを持つか。
「それにあなたの報告、面白かった。他にも読みたい」
 続く覚の言葉に、木偶は天を仰いだ。これまで曖昧なままにしていた間諜のことを持ち出した上でこの言葉。おそらく、過去に間諜をしていたことは水に流すと言っているのだ。それに木偶は一度、覚に交際を申し込んだことがあった。実家から帝都で嫁も探せとせっつかれていたことや、なんとなく浮いた話も今までなかったことへの焦りから妙な方向へ向かった結果行った向こう見ずな突撃ではあったが、少なくとも好意を抱いていた相手からそう言われたら断れない。足元から寒さが忍び寄ってこない。今更ながら、部屋の暖かさを感じた。木偶は息を吐いて二人に向き直ると頷いた。
「わかりました。そうしましょう」

■ 3

 その後の木偶切子について、簡単に記す。
 木偶は、その後も帝国財団の理事の地位に在り続けた。とくだん権勢を振るうこともなく、公式記録にはあまりその名前は登場しない。ただ、膨大な見聞録を残した。書き手について実直というより朴訥、あるいは愚直という印象を与えるその膨大な見聞録は現代において、帝国中期の風習や情勢を知る上で貴重な歴史資料となっている。
 また、彼個人の仕事として始められた見聞録の作成は十年もしないうちには帝国財団の一部門として地誌編纂室が作られるまでに膨れ上がっている。編纂室が大きくなってからはその長としての仕事に専念していたというのが通説ではあるが、この時期にも見聞録を書いていたと思われる記録もある。いずれにせよ、これ以降彼の記録は急速に数を減らし、その足取りを追うことは難しくなっている。これについては、地誌編纂室が設立後第二の情報機関としての色合いを帯びるようになったため意図的に残されなかったともとも言われている。
 いずれにせよ中年期以降の記録は殆ど残されておらず、帝国歴140年頃に没したということしかわかっていない。しかし、彼が礎を築いた地誌編纂室は帝国財団の目となって、これ以降も残り続けている。
 繚乱の中のひときわ地味な花が落とした種は、土の下で強固な根を張るように育った。この稿を、そう締めくくりたい。


■ PLコメント
 傾国繚乱譜、さらにプラリアに最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
 ゲーム内ではあまり動かせることのできなかった木偶切子について自分の考えるその後も兼ねた小話となっています。その諸国漫遊の旅は後に黄門様伝説の元ともなったとも言われ~と行こうかとも思いましたが、歴史小説風の仕立てとしました。
 いささかまとまりのない文章になりますが、この木偶切子について、またゲーム内での行動について少し書こうかと思います。
 まず、木偶切子(こぐう・きりちか)という名前の名字ですがこれは木偶の坊から来ています。キャラクターとしてもとくだん有能であったり才気があるというわけではなくのほほんと周囲に流されやすい、善人であることだけが取り柄の男として構成しました。
 このキャラクターはもともと、「軽い神輿」という方向性…要するに、機会があれば軽い神輿として祭り上げられるという方向で考えたものです。しかしご存知の通り、そのように軽い神輿を持ち出す機会もなかったためこの方向では活用されることはありませんでした。(PL自身も1T以降はそういった方向へ進むことはなさそうだと判断していました) その結果、1Tで放り込まれた安敦部屋での交流をきっかけに、技術面などのサポートをする方向、またさまざまな場所へ顔を出して見聞を広めるという方向で動かしています。
 ただし4Tについては、多忙…というより落ち着いてアクションについて考えていられない状況だったため、事前に考えていた物見遊山の旅に出るとだけ時期を明示せずアクションに書いた結果、あのようなきな臭い旅立ちとなったのだと思います。

 最後になりましたが、ここまでお付き合いいただいたPLの皆様、わけても帝国芋協会や帝国財団でお世話になった方々、本当にありがとうございました。
 また何れかのゲームでお会いする機会があれば、お手柔らかにお願いします。

 (2019/01/10 ターレットファイター)

PBM銀チェス:あるプレイヤーの回顧(1)1T~3T:忘却の彼方・五里霧中

 以前、ムライ准将(終戦時少将)として参加させていただいた「PBM銀チェス」の回顧録第一回となります。 pbmls3.web.fc2.com

 まず簡単に、このゲームに参加した際の自分の状況について。自分はこのゲームが始めて参加するプレイ・バイ・メールのゲームでした。PBMというゲームの形式自体、以前読んだ「フルメタル・パニック!」の第一巻あとがきで「蓬莱学園」シリーズについて触れられていて知ったものの、実際に行われているのに出会うこともなく数年が過ぎた状況でした。そういった状況の中、ツイッター上での告知を見て「PBMに興味はある、銀英伝も原作は読んで気に入っている、やってみよう」と参加したのがこのPBM銀チェスでした。

 参加することは比較的すんなりと決めたものの、演じるキャラクターの選択でいくつかの選択肢を考えて迷った記憶があります。この際に自分の中で考えた選択肢としては

・同盟軍:ムライ参謀長で参加

・帝国軍:ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ提督で参加

の二つに加えて、オリジナルキャラクターでの参加がありました。このうち、オリジナルキャラクターでの参加に関しては時系列に関する記憶があいまいなうえに記録が残っていないため、省きますが結果としてはこの選択肢は選ばれませんでした。理由としては、PBMという初めて触れる勝手のわからないゲームシステムに加えて、新たなキャラクターの創造まで加わると手に負えなくなると考えたような記憶があります。

 さて、参加するにあたって演じるキャラクターを二人に絞ったのですが、この二人が候補となった理由は銀英伝を読んだ際、自分が好きだと思ったキャラクターだからでした。そして両者ともに好みという意味ではそれほど差がなかったのですが、最終的に自分はムライ参謀長の方を選ぶこととなります。このような選択となった理由としては、「自分はPBMだけでなく、ウォーゲームの類もプレイしたことがない」というものがあります。このことが選択の理由となった背景として、メルカッツ提督での参加となると開始時点で大将となり、艦隊の運用に関わることが予想されたことが挙げられます。自分はPBMに不慣れであり、おそらくそう上手くは動き回れないであろう、ということとゲームそのものへの見通しができない状況であったため、戦局に大きな影響を与えかねないポジションは避けるべきだろう、という考えです。また、ロールプレイの点から、自分自身について考えたときとても「老練な提督」というロールプレイはできないだろう、という判断があったことも加わって比較的動きやすいであろうムライ参謀を選択することとなりました。

 

 さて、ここからが1~3Tの回顧録となります。ここからは、以前書いたものを基本的にそのまま写しているので、少々文体が変化しますがご容赦を。


 この期間、私の行動については「よく分からなかった」という一点に集約されるだろう。このような状態となった背景としては、

・PBMというものに参加するのは初めてである(類似したところのあるTRPGのプレイ経験もなかった)

・己の怠惰、不勉強

の二点が挙げられる。

ログによると、同盟会議室には2015年2月5日に参加。当時の自分の状況としては、まず何をすればいいのかがわからない。ていとく氏(だったと思う)にこの点についていろいろと伺った記憶がある。要約するのならば、「行う行動の要点を明確に」、「その行動の動機を明確にする」といった内容だったと思う。

この時点で、状況の把握に出遅れており、この状況を解決できない・しないまま放置していたことで4T以降のフェードアウトにつながっていったものと思われる。この時点で自分がどの程度状況を把握できていたのかについては不明であるが、星系地理そのものの段階から把握していなかったものと思われる。これについては、自分が戦力表に目を通していなかったのが原因であるため自業自得としか言いようがない。また、ゲームシステムもよく分かっていなかったのではないかと思われるがもはやこの辺りは不明である・・・。

また、このようなゲームでは「敵の行動予測」と「自軍のとれる行動」の両者について考えることが重要となるのだが、この当時この二者について、可能性を切り分けて、それぞれについて評価を行うという手法を理解していなかった。このこともただでさえ怪しげな状況理解の混迷に拍車をかけたのではないかと思われる。

 この期間においては、全期間において第13艦隊参謀長としてヤン提督を補佐する立場にあり、アクションもそれを前提としたものとなっている。第1ターンにおいては、アムリッツァへの前進のため必要とされる偵察衛星の散布計画、物資輸送計画の策定を行っている。また、蛇足(?)としてシェーンコップ准将とポプランに対して注意を行う(むろん、風紀の乱れについて)、茶を点てる、の2つのアクションも盛り込まれていた。第2ターンはリアクションを出し忘れ、ファイルも現存しないためどのような行動を考えていたかは不明である。第3ターンにおいてはアムリッツア星域の監視をフィッシャー提督から引き継いでいる。また、同アクションにおいて「第四艦隊司令部の監視」にも触れられているが、該当ターンにおいて第4艦隊には司令官としてコーネフ中将が据えられているのみであり、さらに艦隊所在地も異なっているためどのような目的でこのアクションを行ったかは不明である。また、このアクションについて特筆すべきこととしてはこの直前に会議室で「ムライとはどういう人物であったのか」ということについて相談に乗っていただき、アクションの参考としていることが挙げられる。しかし、この後はしばらく銀チェスから遠ざかっており、このことは十分に活かせたとは言い難いが・・・。

 以上のように、この期間考えていたことの大半については忘却の彼方であるうえ、日記などでも言及していないため推測する以上のことはできなかった。そしてこののち、4・5ターンではアクション提出を行っておらず、同盟会議室の内容にも目を通していない。この理由について、今となっては想像するほかないのだが、2015年6月17日のツイートでは「思いのほかPBMが合わず、完全に休止状態[1]」と言及されていることは一つの参考になると思う。自分のことであるのに「おそらく」などと言うのはいささか無責任ではあるのだが、おそらく、どうすればいいかわからず、全体像もわからず、何が起こっているのかも分からず、そして他にやりたいこともあるなどで放り投げてしまったのであろう。

 

[1] https://twitter.com/BoultonpaulP92/status/611158067267276801

けものフレンズ11話と阿鼻叫喚について思ったことを書き散らかしておくメモ

けものフレンズ、11話観ました。ネタバレになる要素があちこちに散らばっていると思うので、未視聴でネタバレを避けたい方は読み進めないことをお勧めします。

とりあえず今のところこんな感じなのかな、と考えているシリーズ全体の構成としては

 

・第1話から第10話まで。

各話の冒頭で提示される問題とその解決を通して、当初パークについて何も知らない、部外者であったかばんちゃんがジャパリパークのフレンズたちとの交流して、ジャパリパークの一員」となっていく様を描いていく。

 

・第11話と第12話。

10話までで断片を示した「パークの危機」、あるいは巨大セルリアンとの戦いという話のクライマックスを描く。(最後はかばんちゃん、あるいはそうだった存在とサーバルで締めくくられるんじゃないかなぁとぼんやり思っているけれど、これはどっちかというと自分の趣味)

第11話がドラマフォールで、ここまで何か困難を乗り越えるときの要となっていたかばんちゃんが失われたことで事態が一気に悪化すること(とまではいかずとも、主人公が倒れるという一大事)を描く。

第12話はそこからの復活、エンディングに向けてどん底から一気に這い上がっていく様子を描く。

 

といった感じのもの。

ドラマフォールについては、その落差を大きくすることによって視聴者ないし読者の感情を揺さぶるのが目的なので、現在あちこちで見られている阿鼻叫喚は演出上意図していたものなのではないだろうかと思う。ここまでの視聴者たちのジャパリパークへの愛着と言えばいいのか、思い入れとでもいえばいいのか(どちらもやや大げさな気はするけど)まあ、そういったものもこの落差の威力を増す(ドラマフォール前のカバード・ピークを高くしている)事となっているのではないかと思う。大袈裟な言い方をするならば、ここまで徹底してジャパリパークとそのフレンズたちを優しい、安心できる存在として描いてきたのも視聴者のパークへの愛着を(かばんちゃんのそれとリンクさせるように)大きくさせるよう意図したものなのかもしれない。そして、その中でちりばめられてきたドラマフォールへの伏線が一気に効果を発揮したのが第11話のラストなのではないかと思う。

 

阿鼻叫喚参考

dic.nicovideo.jp

また、余談にはなるが第11話でかばんちゃんが山頂?から海の外にある島を見たこと、そして「(パークの危機となる巨大セルリアン退治のために)船を沈める」ということを決めたことはけっこう大きなポイントとなるのではないかなと思う。海の向こうに島がある、ということは「海を越えて他の人間を探しに行く」というかばんちゃんの目的達成において中間ポイントとなる場所が示されていることであり、船を沈めることを決めたのは、目的達成に必要不可欠なものを諦めるほどかばんちゃんがパークの危機を重要視しているということの表れだと受け取れるからだ。

 

とはいえ、なぜ第11話ラストでかばんちゃんがわざわざセルリアンに呑みこまれたのかはわからない。わざわざラストで、その理由について説明できる描写のないままそういう展開としたということは次の話でそれを受けてさらにうごきがある、と言うことなのだろうとは思うが・・・。